地場産業の織物について
ねむりのコンシェルジュによるお役立ちラジオ
FM京都【SLEEP CONCIERGE】 2023.11.01放送
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日本の織物産業について
今回は、おふとんの素材である“真綿(まわた)”や、地場産業の織物についてお話いたします。
真綿とは、絹(シルク)と同じ「蚕の繭」から作られる天然繊維です。
高齢の方から「昔はよく家で育てていた」というお話も聞きますが、この養蚕農家は、大変な勢いで減少しています。
農林水産省の報告によると、平成元年に全国で5万7千戸あった養蚕農家は、10年前の平成25年には486戸、そして昨年令和4年には163戸まで減少。
国産の絹は今現在、大変貴重なものになっています。
◆真綿ふとんとは…
この状況を受けて、いま日本各地の産地では「絹製品のブランド化」に取り組んでいます。
絹は比較的、和装で用いられることが多いのですが、近江では蚕がつくった繭を、手で均一に引く「手引き」という江戸時代から続く伝統的な手法で「真綿ふとん」が作られています。
「真綿ふとん」は、クモの糸のような薄い真綿を何層も何層も重ねることでふくらみを出しています。
その肌触りは、“くったり”と 身体によく寄り添い、シルクの特性である吸放湿性も高いため、おふとんの中で快適な環境を作ってくれます。
◆日本で作られる天然素材について
そして貴重な素材というと「綿」も貴重です。
身近な素材の綿ですが、実は現在日本で作られている綿はほとんどありません。
ご存知ない方も多いかもしれません。
国内で綿花(コットンフラワー)を栽培している地域は、少しずつ増えてきているものの、流通して国内自給ができる量には、まだまだ程遠く、現在国内では、統計上“ほぼゼロ”とされています。
ちなみに羽毛がとれる「水鳥」、ウールがとれる「羊」も流通するほどは飼育されていません。
日本の繊維製品は、ほとんど輸入された原料から、布や製品に仕上げられています。
◆日本の三大綿織物産地とは…
日本各地を見渡してみると、「大阪の泉州」、「愛知の三河」、「静岡の遠州」のエリアが、日本の三大綿織物産地と呼ばれています
細い糸による織物が得意な地域や、タオルが得意な地域など、それぞれに特色があります。
中でも三河は綿伝来の地と言われており、今でも寝具を含む幅広い分野の織物を生産しています。
また、泉州では戦争需要もあり、毛布生産に特化しており、今では日本製の毛布のほとんどを作っています。
愛着がわくものには、実は、それぞれの土地で受け継がれてきた技術で作られた背景があるかもしれません。
毎日使う寝具が、”どんな素材でどのような所でどのように作られてきたのか、思いを馳せてみる”。
これはSDGsの考えにも繫がりますね。
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