妊娠時期における睡眠の悩み
ねむりのコンシェルジュによるお役立ちラジオ
FM京都【SLEEP CONCIERGE】 2023.10.25放送
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妊婦さんは睡眠に悩んでいる
前回、睡眠の悩みに対するお話しがありましたが、最も睡眠に悩む層というのが、妊婦さん!!
妊娠後期では8割以上が不眠症状を抱えていると言われています。
これまで、妊婦さんに対する睡眠の悩みには、「体が変化するためうまく眠れなくなるのは当然。
一時的なものなので、産後の赤ちゃんのお世話で、夜起こされる練習だから、眠れるときに寝て乗り切って!」
というアドバイスがなされていましたが、別のアプローチも推奨されています。
それが、妊娠中の睡眠障害を、よくあるマイナートラブルと片付けず、起こりうる睡眠の変化をあらかじめ「学ぶ」ことで不安感を減らすなどといったアプローチです。
◆妊娠中の睡眠への影響
妊娠中の睡眠は、ホルモンや身体的・心理的な変化の影響を受けます。
初期では、頻尿やつわりがありつつも、強い眠気により睡眠時間は伸び、
中期では、腰の痛みはありつつも睡眠時間は安定します。
しかし、中途覚醒は増えてきます。
そして末期になると、お腹の大きさで姿勢が安定せず、睡眠時間が短くなっていきます。
こうして、妊婦さんの深い睡眠は全体を通してみても、どうしても減ってしまいます。
心理面でも妊娠段階によって違った不安をかかえやすいのですが、妊娠中の「うつ」に関連するのは「孤独感」というデータがあります。
そのため、周囲の皆さんは妊婦さんを孤独にさせない意識、そして「繫がり」への配慮をぜひ心がけていきたいですね。
◆特に注意したい症状
さて、睡眠不足と睡眠障害の見極めが難しいところではありますが、特に気を付けたいことが2つあります。
●ひとつ目が「むずむず脚症候群」です。
この「むずむず脚症候群」は、同じ世代・同じ地域の女性と比べ妊婦さんの有病率は2倍~3倍というデータがあります。
眠ろうとすると足に違和感を感じ寝付けないので睡眠時間が削られるというもので、予防的には鉄や葉酸、ビタミンDなどの摂取がすすめられています。
●ふたつ目が、ついつい見過ごされやすい「睡眠時無呼吸症候群」です。
若い女性は通常だとリスクは低いんですが、妊娠さんによっては体重が増えることやホルモンの変化で、むくみが起こりやすいために気道が狭くなってしまうことがあります。
しかし、残念ながら日本ではまだ妊婦さんに向けた無呼吸症の基準が確立されていません。
今後の研究が待たれる部分ではありますが、最近はアプリなどで、睡眠中の自分の状態をチェックできるものがあるので、
大きないびきや睡眠中の呼吸が止まっている時間がないかなどを、アプリを使って確認するという方法もありますね。
◆妊婦さんへのサポート
仕方がない部分があるとはいえ、体形・体質の変化や日常生活の大きな変化、精神的な不安なども含めて、妊婦さんには大変で、大切な時期でもあります。
妊娠中の睡眠障害は「産後うつ」のリスクを5倍以上あげてしまうとも言われています。
ご家族や周囲の皆さんにも、ぜひこの知識を共有して、一緒に乗り越えていただきたいと思います。
取り残されたような孤立感や焦りといったメンタルの変化に寄り添うこと。
完璧じゃなくてもいいよというゆとりを持たせてあげること。
そして声をかけることは本当に大切です。
自治体や病院にも様々なサポートを受けられるシステムがありますし、妊婦さんと一緒に睡眠について勉強をすること、睡眠環境を整えることも、できることの1つです。
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